相続人同士が揉めている場合、相続登記は非常に難しくなります。司法書士は紛争の解決はできませんが、状況に応じた「登記の選択肢」を提供し、次のステップをサポートします。
1. 司法書士は「紛争解決の専門家」ではない
まず、最も重要な点です。司法書士は、相続人同士の遺産分割協議の交渉や、紛争の代理人にはなれません。それは弁護士の専門分野です。
2. 喧嘩中でもできる相続登記の「2つの選択肢」
遺産分割協議がまとまらない場合でも、以下の方法で「とりあえずの登記」や「義務履行のための登記」が可能です。
* 法定相続分での登記
* 内容: 遺産分割協議ができていなくても、各相続人の法定相続分(法律で定められた割合)で登記ができます。
* メリット: 相続登記の義務を果たせる。
* デメリット: 不動産が共有状態になり、売却や担保設定が難しい。後で遺産分割協議がまとまれば、改めて所有権移転登記が必要です。
* 相続人申告登記
* 内容: 2024年4月からの相続登記義務化に対応した新制度。遺産分割協議が未了でも、「自分が相続人である」ことを登記官に申し出ることで、義務違反による過料を避けられます。
* メリット: 相続登記義務の履行と過料回避。
* デメリット: これだけでは不動産の所有権が確定せず、最終的な相続登記は別途必要です。申告から3年以内に遺産分割協議をまとめ、登記申請が必要です。
3. 司法書士がサポートできること
* 現状の把握とアドバイス: 複雑な相続関係や財産状況を確認し、現在の状況で最適な登記方法を提案します。
* 必要書類の収集代行: 戸籍謄本など、登記に必要な書類の収集を代行します。
* 弁護士との連携: 司法書士では対応できない法的な争いが生じている場合は、信頼できる弁護士の紹介や、連携して対応を進めることができます。
まとめ
遺産争いをしている場合であれば、お金等で解決することが出来ますが、人間的に仲たがいしている場合だと解決することがかなり難しいです。財産を求めているのではなくてただ単に協力したくないという場合だと解決の糸口がないからです。
相続人間で争いがある場合でも、司法書士は「登記の専門家」として、現状を打破するための法的な選択肢や、適切な専門家への橋渡しをサポートできます。お一人で悩まず、まずはご相談ください。
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