相続登記とは、相続財産である土地と建物の名義を変更する手続きのことです。
相続税の申告と違い、この登記手続きはいつまでにしなくてはならないという明確な期限は定まっていません。
角田家での出来事
角田太郎と松子、長男の一郎は太郎の名義の土地と建物に住んでいました。
太郎が亡くなり、相続が発生しました。この時の相続人(遺産分割協議をする人)は下記の通り、松子、一郎、二郎です。
この時、二郎は、「母と同居して今後も面倒見てもらうんだから、兄の一郎が土地と建物を相続したらいいよ」と言ってくれました。生活していくことに不自由はなかったので、特に相続登記、遺産分割協議書を作成することはありませんでした。
しかし、不運なことに、その後、二郎が不慮の事故で亡くなってしました。
その後、一郎は自分と母が住む土地と建物を担保に入れて銀行からお金を借りようとしたところ、相続登記を行い、一郎名義にするように言われました。
二郎が自分が相続していい、と言われていたので特に気にも留めずに司法書士に相談したところ、
「遺産分割協議書に松子、一郎、竹子、梅子の実印を押してもらって来てください」と言われました。
ご相談を受けさせていただいていて、よくあるケースです。
この事例で、竹子と梅子が協力的であれば何の問題もありません。
しかし、
①二郎が亡くなった後は竹子も梅子も会ったことがなく、どこにいるのか分からない。
②自分たちには二郎分の法定相続分(4分の1)の権利があるはずだと主張してくる。
といった場合、名義変更することは大変難しくなります。
二郎さんが生前、太郎の財産は一郎がもらえばいい、と言ってくれた時に、きちんと
「遺産分割協議書」を作って、相続登記をしておくべきでした。